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マレーシアとシンガポール。マレー半島でお隣通しの両国で、日本人観光客の人気も高い国ですが、この2か国の違いは?と聞かれるとなかなか分かりにくいかもしれません。マレーシアとシンガポール、元をたどっていけば戦前までは同じイギリスの植民地。このため、地理的にも歴史的にも文化的にも結びつきがかなり強い国なのです。
イギリスから独立を果たし、当時のイギリス植民地だった国々による連邦国家、マレーシア連邦が成立したのは1963年。実はこの時、マレーシアとシンガポールは同じ国でした。しかし様々な事情により2年後の1965年、シンガポールはマレーシアから独立して独自路線を歩むことになります。現在では両国分離から50年以上が経過して独自の歴史を歩む両国。はたしてどんな違いがでてきたのでしょうか。
ここではマレーシアとシンガポールがどう違うのかを、歴史や文化面でまずまとめました。この上で、両国を観光する際のポイントについてもまとめています。私自身マレーシアへは入国7回・シンガポールへは入国4回をしており、旅行者の目線から情報をまとめています。
もしよろしければ、以下のマレーシア関連の記事も併せてご覧ください。
本当にざっくりといくと、違いはこんな感じです。
シンガポールは都市部にいるとベースは無国籍に感じますが、一歩下町に出ると中華圏を感じることが多いです。マレーシアは全体的なベースはマレー風ですが、中華系やインド系の様子も多く見られます。
とはいえそれぞれの文化の根っこは同じなので、シンガポールやマレーシアの中華系のレストランでは、マレー半島で育った独特の中華料理がどちらでも楽しめます。もちろんマレー料理も、同じようなものがシンガポールでもマレーシアでも楽しめます、といったところでしょうか。ただ絶対数として、シンガポールでは中華が、マレーシアではマレーが多い、といった印象を受ける感じですね。
ではまず簡単にシンガポールとマレーシアの歴史をご案内します。
マレー半島では、古来マラッカが重要な港湾都市として栄えていました。そのためマラッカはヨーロッパ諸国の植民地支配を受けており、1511年にポルトガルの植民地下に、1641年にはオランダの進行を受け今度はオランダの植民地下に入ります。一方、イギリスもこの界隈に進出しようと、同じマレーシアのペナンを1786年から植民地下においていました。
大きく情勢が変わるのは1824年ごろ。このころイギリスは、マラッカをオランダがら割譲され、さらにシンガポールも支配下におきました。マレー半島全体がイギリスの影響下に置かれることとなります。「英国海峡植民地」としてイギリスの植民地支配を受けたこれらの都市は、1832年、当時成長著しかったシンガポールに首都がおかれることとなりました。
・・・なのですが、これ以降だんだんと、この界隈はあまり貿易の利益がでなかったため、イギリスにとってお荷物であまり重要視されない植民地になっていきます。不遇の時代です。様子が変わったのは1857年頃、クアラルンプールのスズの鉱山で利益が出始めたとき。このころヨーロッパは急速な工業化により、スズが重要な資源の一つとなっていたのです。1870年代にはヨーロッパのスズが枯渇し、マレー半島はますます重要視されるようになります。イギリスはスズの安定供給を目的にマレー半島の各国に介入。1896年にはマレー連合州として、この一帯がイギリス植民地支配を受ける事となります。首都はスズの産出拠点として大賑わいの、クアラルンプールへ置かれることとなりました。
そうしてイギリス植民地支配下となったマレーシア・シンガポールですが、第二次世界大戦では日本軍による占領を受け、一時期日本の支配下に入りますが、終戦とともに再度イギリス植民地下に組み入れられます。
これ以降マレー半島では独立の機運が高まり、1957年にはマレー半島からシンガポールを除いた領域が、マラヤ連邦として独立。1963年にはここにシンガポール、ボルネオ島の2州(サバ、サラワク)が加わって、マレーシア連邦が成立します。
・・・なのですが、マレー系住民に重点が置かれた政策に、中華系人民の比率が高かったシンガポールでは反発が高まります。シンガポールでは暴動まで発生し、最終的には分離独立する形で新しくシンガポール共和国が1965年に成立します。こうして今のマレーシア・シンガポールの構図が出来上がっています。
ということで、ざっくりというと、この界隈はイギリス植民地下にあって、同じイギリス植民地下にあった領域が合わさって戦後独立をしたものの、中華系の比率が高かったシンガポールはマレーシアの施策にあわず、分離独立の道を選んだ、というざっくりそんな感じになります。
ポイントは英国海峡植民地の首都にシンガポールがなったのが1832年、スズが注目されマレー連合州の首都がクアラルンプールになったのが1896年という所でしょうか。どちらも拠点として重要視されるようになったのは比較的最近です。そのため、この界隈には歴史的建造物はあまり多くなく、首都として、都市観光をするのが中心になってきます。
一方、世界遺産として指定されているマレーシアのマラッカやペナンは、より古い時代から歴史を築いています。なので世界遺産をみたいのであれば、こちらの都市がおススメになります。
そしてそして、こんな感じでマレー半島のイギリス植民地下としての歴史を歩んできた両国なので、文化面は基本的に一緒。シンガポールが中華系の比率が高かったゆえに、マレーシアとは分離独立をしましたが、もとをたどると同じ国。似たような文化が多いのはそういった事情から、と言えますね。
それでは具体的にそれぞれの国の観光ポイントを整理しましょう。実際、この2つの国、良い補完関係になっていて、シンガポールにないものがマレーシアにあり、マレーシアにないものがシンガポールにあります。
まずはシンガポールの特徴からご案内した上で、マレーシアには何があるのかをご案内します。
シンガポールの売りはやはり都市型の観光。中心部は特に近年、洗練された近代的な観光都市として有名です。
シンガポールといえば最近都市型のリゾートとして開発が進むセントーサ島。ここ一つとっても、ユニバーサルスタジオシンガポール、シーアクアリウム(水族館)、キッザニアシンガポール、ウォーターパーク(巨大プール)と大型の施設が目白押し。更には世界の要人も多く宿泊していることで有名なシャングリラズ ・ラサ・セントーサ・リゾート&スパもあり、ここを遊びつくすだけでもかなりの日数が必要になります。
更には中心部、マリーナベイエリアには有名なマーライオンを初め、マリーナベイサンズ、ガーデンズバイザベイ(都市公園)、フラワードーム&クラウドフォレスト(植物園)、シンガポールフライヤ―(観覧車)などの施設が目白押し。そして郊外には世界遺産にも認定されたシンガポール植物園、三種類の施設が楽しめるシンガポール動物園(動物園、リバーサファリ、ナイトサファリ)などなど。一度で全部は回りつくせないくらい、多数の施設がシンガポールにはあります。
まだまだシンガポールには魅力があります。チャイナタウン・リトルインディアといった民族色が豊かにでた町々。特にチャイナタウンは安くておいしいお店が多く、リーズナブルなミシュラン一つ星店やビブグルマン認定店がひしめいています。ほかにもショッピングストリートとして名高いオーチャードや、もはや観光名所の一つとなり世界中の賞を受賞しているチャンギ国際空港等・・・。都市型観光の魅力がぎゅっとつまったのがシンガポールです。
シンガポールと真正面から比較するとする都市は、クアラルンプールになります。同じ都市型観光ではありますが、都市としての魅力で真正面からシンガポールにぶつかっていくと正直見劣りがするのは事実。「洗練された都市」としての魅力は、正直シンガポールには勝てないのかな、というのは正直な所ですね。
ただシンガポールは都市として発展しすぎて、英語ばかりなので無国籍風に見える事が多いです。一方こちらは、「マレー文化としての都市」を楽しむことができます。例えば独立記念公園を中心としたエリアには、イギリス植民地時代から使用されている行政府の建築物が多く並んでおり、ヨーロッパにイスラム様式が混ざった独特の建造物の多くに目を奪われることでしょう。
更に別の都市に目を向ければ、マラッカやペナンは世界遺産として認定を受けた都市。欧州列強各国からの植民地支配を受けたマレーシアですが、当時からの文化が多く残り、ヨーロッパとマレーと中国とインドが混ざった独特の街並みを楽しめるのは、多民族国家であるマレーシアならでは。
そしてボルネオ島には世界自然遺産に認定された自然が2か所あり、ボルネオ島らしい雄大な自然を楽しむことができます。東南アジア最高峰のキナバル山には、世界最大の花ラフレシアをはじめとして日本では見られないものも数多く、独特の生態系を体験することができます。
更にマレーシアには多くのビーチリゾートがあります。ペナン島、ボルネオ島はそれぞれ有名なシャングリラリゾートのホテルがあり、特にペナン島は「東洋の真珠」と呼ばれるぐらい美しい景色が数多くあります。
ただ、個人的におススメしたいのは最近日本でも注目度の高まっているランカウイ島。この島は田舎の島で、観光スポットもそれほど多くないのですが、とにかく落ち着いた島の様子が魅力。リゾートホテルの多くはプライベートビーチになっており、都会の喧騒を忘れ、南国らしいゆったりとした落ち着いた時間を過ごせるのが魅力です。
続いてマレーシアとシンガポールの基本的な情報を比較してみます。
項目 | ![]() | ![]() | ![]() |
人口 | 31,786,000 | 5,610,000 | 126,860,000 |
面積 | 329,847平方km | 719平方km | 377,972平方km |
1人 当たり GDP | 17,747ドル | 85,382ドル | 40,090ドル |
首都 | クアラルンプール | なし | 東京 |
主な 観光地 | クアラルンプール ペナン ランカウイ コタキナバル マラッカ | マリーナベイ セントーサ島 チャイナタウン オーチャード クラークキー | 大阪 京都 東京 北海道 千葉 |
言語 | 【実言語】 マレー語、 英語 【国語】 マレー語 【公用語】 マレー語 【準公用語】 英語、 中国語、 タミル語 | 【実言語】 英語、 中国語 【国語】 マレー語 【公用語】 英語、 中国語、 マレー語、 タミル語 | 【実言語】 日本語 【国語】 日本語 【公用語】 日本語 |
宗教 | 【国教】 イスラム教 イスラム教:61% 仏教:20% キリスト教:9.0% ヒンドゥー教:6.0% | 【国教】 無し 仏教:33% キリスト教:18% イスラム教:15% 道教:11% ヒンドゥー教:6.0% | 【国教】 無し 神道:99% 仏教:80% キリスト教:1% |
民族 構成 | マレー系:約67% 中華系:約25% インド系:約7% | 中華系:74% マレー系:13% インド系:9% | 日系:99% |
物価 | クアラルンプール :165位 | シンガポール :5位 | 東京:3位 大阪:22位 名古屋:54位 |
治安 | 139位 1.92人 | 199位 0.25人 | 197位 0.31人 |
なお、物価はマーサーの2017年世界生計費調査、209都市中のもの、治安は10万人あたり国別殺人発生率と、205ヵ国中の順位をまとめています。
ざっとこんな感じになります。ではまず、観光客的に差を感じるポイントをいくつかまとめてみました。
というのでまず皆さんが気になるのは物価なんじゃないでしょうか。私も物価は非常に気になりました。
概ね全体の傾向ですが、シンガポールはほとんど日本と同じぐらいの物価です。ものにより日本より高いもの、安いものはもちろんあるのですが、平均的には同じ程度、という印象を受けました。一方マレーシアは物価がかなりやすい。押しなべて日本の三分の一程度、とよく言われますが、実際それくらいだと思います。
私自身は東南アジアの物価は、鼎泰豊で測るのが分かりやすいと勝手に思っているんですよね。その国の、ちょっと高めのレストランぐらいのお値段で大体出してくるので、比較にはもってこいです。
というので、日本、シンガポール、マレーシアの鼎泰豊の価格を比較してみました。結果はこちら。
料理 | ![]() | ![]() | ![]() |
小籠包 (6個) | 13.4リンギ (約402円) | 8.5ドル (約680円) | 908円 |
青菜の ニンニク 炒め | 21.4リンギ (約642円) | 11.8ドル (約944円) | 864円 |
海老炒飯 | 20.05リンギ (約601.5円) | 13.8ドル (約1104円) | 1188円 |
表中、ドルはもちろんシンガポールドルです。
これでみるとだいたいマレーシアだと半値程度、シンガポールはほとんど同じぐらい、ということが分かっていただけるかなと思います。マレーシアのお値段は本店台湾のお値段より安く、勝手にマレーシアが一番安く鼎泰豊が食べられるんじゃないかなあと思っています。
このお値段が、その国のちょっとお高めのレストランへ行った時のお値段になると思っていただければ、わかりやすいと思うんですよね。そう考えるとシンガポールだとなかなかやはり高いなと感じますし、逆にマレーシアだとこのくらいならどんどん食べれるな、っていう感じです。
じゃあ反対に安い料理がいくらか、というのもありますね。日本だと牛丼は380円ぐらい、立ち食いソバでも300円くらいなので、だいたい安い外食の下限は300~400円くらい、という感じですね。
一方シンガポールの牛丼にあたるのがチキンライス。写真はシンガポールの超有名ホーカースにあるチキンライス店、天天海南鶏飯。ここのチキンライスのSは 3.5シンガポールドル(約280円)ぐらい。チキンライスで安い所はこのぐらいのお値段の所が多く、外食の下限はこのくらいかな、といった感じ。
マレーシアは本当に超ローカル向けのレストランで良ければ、 ナシゴレン3.5リンギット(約105円)やナシレマ2リンギット(約60円)、ロティチャナイ1.3リンギット(約39円)など。クアラルンプールの中心部にあるようなお店でも、ローカル向けのレストランはこのくらいのお値段です。物価が安いというのはわかっていただけるかなと思います。
反対にマレーシアでもシンガポールでも安いものが何かというと、タクシー。こちらも料金を表でまとめてみました。
種別 | ![]() | ![]() | ![]() |
初乗り運賃 (1kmまで) | 3リンギ (約90円) | S$3.9 (312円) | 410円 |
1キロごと | 0.87リンギ (約26.1円) | 0.55ドル (約44円) | 337円 |
細かくは東京は237メートル毎に料金が進んだりとか、シンガポールは400メートル毎で10キロを超えると少し高くなったりとかで、細かい違いはあります。ありますが、とりあえず金額をの差を分かりやすくするために、距離を統一して記載してみました。
みていただけると、初乗りは東京とそんなに変わらないのがシンガポール。ただ1キロごとを見て頂ければわかると思いますが、とにかく進みが遅いんです。このぐらい進みが遅いと、長距離はむしろ乗りたくなるんですよね。そしてとにかく安いのがマレーシアですが、これがGrab使うと更に安くなりますからね。もうどこに移動するにもタクシーで行きたくなります。
細かいルールを考慮していませんが、概算で大体30キロ移動するとマレーシアが28.23リンギットで約846円、シンガポールが19.85シンガポールドルで約1588円、日本は10183円になります。こうやって書くとどれだけマレーシアとシンガポールがタクシー使いやすいかわかりますね。個人的にこの国ではもうガンガンタクシーのるのが正解だと思ってます。ちなみに30キロというとチャンギ空港からシンガポール中心部ぐらいの距離なので、私は毎回タクシーで乗り付けてます。
とはいえ、クアラルンプールはタクシーの質が最悪なので、基本的にGrab使うのが無難ではあります。このあたりはご注意を。
マレーシアとシンガポールの物価はこちらの記事でも詳しくまとめています。
マレーシアはマレー語が公用語。町中での表記も、まずマレー語があったうえで、英語が併記される形が多いです。国としても、教育の中心はマレー語です。
ただ多民族国家のため、英語教育にも力を入れている事から、英語表記を見かける事も多いです。観光客が行くようなところは概ね英語表記がある事から、英語さえわかれば基本的に問題ありません。中華系も多いことから、特に中華系が運営しているお店は中国語の表記を見かける事も多いです。
シンガポールは公的にはマレー語が国語で、本当に極一部の公的なものはマレー語が使われますが、ほとんどが伝統的なもので観光客が使う事は無いでしょう。(例えば地名などは、一部マレー語の名残を感じるものがあったりします)実社会では英語が標準で、英語だけ話せれば問題なく生活できます。町中の表記も、基本的には英語中心です。国としても英語教育を中心としています。ただ民族構成的に中華系が多いことから、中国語は多く見かけます。
まずはマレーシアの様子から。こちらはクアラルンプール国際空港の様子。まずマレー語が表記され、次に英語、小さく中国語とタミル語、そして日本語の表記までありがたい事にしてあります。空港や観光地など、各国語の表記があるときには日本語の案内がある場合もあり、日本人が訪れやすいな、と感じます。
とはいえマレーシアでよく見るスタンダードな表記は、こんな感じでまずマレー語が書いてあって、次に英語が併記されているスタイルですね。これが一番多く見かけます。英語が書かれているため基本的には心配する必要は無いかなと。
こちらはランカウイのナイトマーケット。地元客の利用が多いため、多くはマレー語のみの表記になっています。一部観光客もいるため若干英語を書いていてはくれてますが、マレー語の表記のみのものも多いですね。
中国語表記を見かけるのは特に中華系の料理店ですね。分かりやすくて助かりますが。シンガポールほどは多く中国語表記は見かけない印象はあります。
一方シンガポール。こちらの場合開き直って英語表記のみとしている場合も多いです。正直空港の案内だと文字が大きいほうが助かるので、これだけでも十分な気はしますね。
もちろん空港や、一部の観光地では民族全員分の表記がされています。こちらはリバークルーズの観光案内で、英語、マレー語、中国語、日本語の表記。本当ありがたいですね、日本語の表記・・・。逆にここはタミル語の表記を見る事がなく、そういうものなのでしょうか。実際空港などでも英語、マレー語、中国語、日本語のセットが多く、タミル語がないケースもまあまあ見かけます。街中の注意書きとかにはもちろんタミル語あるんですけどね。そういうものなんでしょうか。
一方中華系の影響が強いんだな、とわかるのはこういう広告の説明書きですね。こちらはチャンギ国際空港のセブンイレブン、スマホ通信用のSIMカードを売っているのですが、ご覧の通り表記は英語と中国語。このパターンが正直一番多いかな、という感じです。ユニバーサルスタジオもキャスト側は英語が基本なのですが、文字表記は英語と中国語がセットになっているのが多かったですね。
どちらかというと市街地は英語のみ表記、下町に出れば出るほど英語と中国語のセット表記を見るのが多い印象ですね。こちらはかなりローカルな場所まで洗濯したいと、コインランドリーに出かけたときのお店。こんな感じで英語と中国語で並んで書いてあるお店は多いです。
マレーシアの国教はイスラム教、一方クアラルンプールでは国教はありません。
どちらの国も、概ねマレー系がイスラム教、中華系が仏教、インド系がヒンドゥー教を信仰する事が殆どです。ただしマレーシアはマレー系が多い国のため、国教としてイスラム教が指定されており、街中でイスラム教の影響を多く感じる事が多いです。一方シンガポールは中華系が多い国のため、仏教徒が比較的多めではあります。とはいえ国教の指定もなく、宗教施設に行かない限りはあまり宗教的にどう、といった印象を感じることは無いですね。印象としては中立です。
ただどちらの国も、多民族、多宗教国家である事に変わりはありません。そのため、宗教的な行事の日の多くが国の祝日に指定されています。具体的には、以下全てはマレーシアでもシンガポールでも祝日です。
イスラム教にも仏教にもヒンドゥー教にもキリスト教にも関連する宗教的行事の日は、全て国の祝日に指定されお休みになります。このあたりは多民族・他宗教国家らしいですね。マレーシアは国教としてイスラム教が指定されてはいますが、宗教の自由も認められており、このようにイスラム教以外も祝日として認められているのは印象的でした。
なので、クリスマスになればどちらの国でも町中がクリスマス一色。中心部のショッピングモールにはクリスマスツリーが飾られて、「Merry Christmas!」という単語が踊ります。これはシンガポールもマレーシアも同じ。アメリカよりMerry Christmasをよく見かけるイスラム教国がある、というのは面白い皮肉だと思います。
とはいえ、やはりマレーシアではイスラム教の力が強く、配慮されているな、と感じたシーンも多くあります。たとえばこちらは、シンガポールのチャイナタウン。チャイニーズニューイヤーを祝うために、装飾がされています。干支が猪(「猪」という漢字は、日本では「イノシシ」と理解しますが、中国では「ブタ」と理解します)のため、盛大に豚が飾られていますね。この時はシンガポール中で豚を見る事が多く、チャンギ国際空港にもたくさん豚がいました。
一方こちらはパビリオンのチャイニーズニューイヤー装飾。見事に豚がいません。イスラム教では豚は禁忌のため、配慮されているようです。マレーシアでは確かに豚の装飾はみませんでした。他の干支はともかく、同じくイスラム教で禁忌とされる戌とあわせて、イスラム教の影響が強いマレーシアでは干支も配慮がされるようです。
個人的に面白いなと思うのはヒンドゥー教。こちらはシンガポールのチャイナタウンにあるスリ・マリアマン寺院。ヒンドゥー教らしい彫刻が特徴の寺院です。
一方こちらはマレーシア・ペナンにあるスリマハマリアマン寺院。非常に似てますね。まあ同じヒンドゥー教の寺院なので当たり前といえば当たり前なのですが。シンガポールやマレーシアにあるヒンドゥー教寺院は多くがこういった装飾を施した寺院となっていて、この界隈が同じ文化圏であることを感じさせてくれます。事実、シンガポールのチャイナタウンにあるスリ・マリアマン寺院を創設したのは、ペナンからきたインド系のお役人さんです。歴史的にやはり近いんだな、という事を感じさせてくれますね。
マレーシアではマレー系が7割近くを占める一方、シンガポールでは中華系が7割を占めます。やはりこの民族構成の差は文化が出ているな、という印象は受けますね。
とはいえ、マレーシアの中華系も、シンガポールの中華系も、ルーツは同じ。そのためマレーシアの中華系で見られる文化は、シンガポールの中華系の間でも見られます。逆にマレーシアのマレー系で見られる文化は、シンガポールのマレー系の間でも見られます。
わかりやすいのはカヤトーストとかでしょうか。こちらはシンガポールの有名チェーン、TOAST BOXのカヤトースト。非常に甘いカヤというクリームと、たっぷりのバターが塗られたパンをトーストしたものになります。これを更に甘いコーヒーで頂くのですから、シンガポールに行くと太るのは間違いないですね。
一方こちらもマレーシアの有名チェーン、オールドタウンホワイトコーヒーのカヤトースト。まあ一緒ですね。なんとなくカヤトーストというとシンガポールのイメージが強い感覚はあるのですが、文化圏は全く一緒なのでどちらの国でも同じように親しまれています。
あとはマレーシアならではの中華系料理といえばバクテーでしょうか。骨付きの豚肉を東南アジアらしい香辛料で煮込んだ、イスラム教を完全に敵に回す料理ですが、おいしいのだから仕方ない。マレーシアではかなりポピュラーで、多くのお店を見ることができます。
そして当然この料理、シンガポールにもあります。こちらはミシュランでビブグルマン認定も受けたお店のバクテー。違いといえば、シンガポールのほうがコショウがかなり効いている印象を受けたところでしょうか。どちらも大変おいしく召し上がれます。
他にもシンガポール料理のイメージが強いチキンライスや、マレーシアのイメージが強いナシゴレン等がありますが、全部どちらの国でも一般的な料理です。このあたりの文化は完全に共通ですね。なので料理はどちらの国でもおいしく召し上がる事ができますが、マレー料理はマレー人の比率が高い分、マレーシアのほうがお店が多いな、という印象がありますし、やはりシンガポールのほうが中華料理をルーツにした食事が多いな、という印象ですね。
あとはやはりマレーシアがイスラム教の影響が強いなと感じるのは、食文化にもあります。こちらは台湾の本店で有名な鼎泰豊。日本にもお店があり、小籠包で有名ですが、こちら当たり前ですが豚肉がふんだんに使われています。中華だと豚肉使われてることが多いですからね。
ただもちろんイスラム教では豚肉は禁忌。食べることはもちろん禁じられているため、こちらのお店はノンハラル。イスラム教徒は立ち入れません。・・・で終わらかなったのがマレーシア。
なんと、豚肉を使わないイスラム教OKな鼎泰豊のお店があるのです。それがこちらのお店。すごい事やりますよね・・・。使われているのは鶏肉で、確かに食べてみて言われてみればさっぱりしているという印象は受けましたが、ほとんど同じ味ではあります。
ただあんまりイスラム教徒らしき利用者は多くなく、もっぱら中国人が多い印象は受けましたが・・・。そもそも現地としてはそこそこのお値段はしますからね。とはいえこういうお店が出ること自体、やはりイスラム教の影響が大きいんだな、という印象を受けますね。
シンガポールの治安は圧倒的に良好で、何なら日本より良いくらいです。但し、シンガポールは治安維持のための統制がかなり厳しい国。国民1人あたりの死刑執行件数は世界一なんだとか。罪状は主に殺人・麻薬関係のようです。外国人の麻薬持ち込みで死刑になる事もあり、たまに国際問題になったりもしていますね。(もちろん持ち込むほうが悪いのですが、勝手に荷物に入れられている犯罪巻き込まれパターンはありますからね・・・)
ただ取り締まりが厳しいことと治安がいいことはトレードオフですので。治安がいい分には観光客は大歓迎ですね。もちろん自分の素行も気を付ける必要はありますが。
一方マレーシアの治安は、東南アジアとしては比較的良好ですが、もちろん注意は必要です。特に首都クアラルンプールは人も多い分犯罪被害も多いです。またジョホールバル近辺は昔から治安が悪い地域ですね。シンガポールの治安が非常に良い分、マレーシアもと油断するのは大変危険です。
とはいえ(もちろん十分警戒している前提で)私自身、シンガポールでもマレーシアでもそこまで重大な犯罪にはあった経験はありません。マレーシアであっても基本的な事項さえまもっていれば、それほど治安面で不安になることはないかな、と思っています。
私自身シンガポールで何か気になった事といえば、せいぜい釣銭をごまかされたくらいでしょうか。それも1回だけですので、基本的に何かあったことはありません。
他方、マレーシアはちょこちょこ気になる事も多いですね。とはいえランカウイ等のリゾートは非常に暖かい島で、何一つ嫌な思いをしたことはありません。ただ、やはり首都クアラルンプールではいろいろとありました。とはいえ命の危険が、とかそういうレベルでなく、タクシー予約しようとしたら料金が怪しかったりとか、なんかメーターの動きが怪しげなタクシーに乗ってしまったりとか、屋台の人が明らかにぼったくりを狙ってきたりとか、おつりごまかされたりとか、そういう感じのレベルですね。大体タクシーがらみはろくな事ありませんので、ほんと注意が必要です。大した金額じゃない事も多いのですが。
では最後に、シンガポールとマレーシアをセットで訪れる場合のおすすめの観光プランをまとめてみました。
個人的にお勧めはランカウイです。シンガポールから直行便(約1時間30分)もあり、シンガポールの洗練された都会と、ランカウイの高級リゾートは相性も良いです。ランカウイはかなりのんびりした田舎町なので、シンガポールと対比して南国の落ち着いた時間を過ごせるのは非常に魅力的です。
ただし、ランカウイの場合は町中にそれらしい観光スポットはありません。完全にホテルにこもるのが中心で、カヤック等面白いアクティビティももちろんあるのですが、種類はそんなに多くないですね。たくさん観光をしたい方にはあまりお勧めできないので、その場合にはペナンが良いでしょう。
ランカウイ島の詳細はこちらでまとめています。
観光を楽しむのであればボルネオ島とペナンですね。こちらもシンガポールから直行便(ボルネオ島約2時間30分、ペナン約1時間30分)が出ており、アクセスはしやすいです。
より自然の観光を楽しむのであればボルネオ島ですね。世界遺産に認定されたキナバル山を初め、リバークルーズ等自然のアクティビティも豊富。シャングリラ ラサリアリゾート等のリゾートホテルは非常に人気もあります。
より文化的な観光や町中の雰囲気を楽しみたいのであればペナンです。1786年にイギリスにより植民地支配をうけることとなったこの地は、当時から残る各種施設が非常に豊富。独特の街並みは、世界文化遺産にも認定されています。よりアクティブに動くのであればこちらがお勧めです。
それぞれの観光の詳細は、こちらにまとめています。
シンガポールとクアラルンプール、どちらも都市なので同時に訪れる場合はちょっと注意が必要です。どちらかというとクアラルンプールは文化的な観光も多いので、シンガポールでは都市を楽しんで、クアラルンプールでは文化的な観光を楽しむ、といった感じになるでしょうか。
たとえば近隣都市のマラッカ。こちらは世界遺産にも認定されている、植民地時代から続く独特の建造物が魅力です。クアラルンプール市内であれば、国立モスクやムルデカ広場近辺のイスラム文化が強いエリアが楽しめます。また更に郊外に出て、バトゥ洞窟やプトラジャヤの建築を楽しむのも面白いでしょう。
また、クアラルンプールは高級ホテルが全般的に安いです。思い切って高級ホテルへ宿泊して、レストラン含め豪遊しだおすのは、シンガポールでは予算的には難しいですが、クアラルンプールだったら何とか手が届くかもしれません。こういった楽しみ方もありですね。
以上、マレーシアとシンガポールの観光の注意点をまとめてみました。どちらも同じようで違う、それぞれ魅力のある国だと思います。どうしても観光上かぶってしまう点があるので、そこはうまいこと調整して。お互いの特色を補完するような観光をすると、非常に楽しめると思います。