ベトナムの治安、どうなのでしょうか。
訪れる前は東南アジアなので、あまりよくはないだろうなと思っていました。
実際の所、訪れてそこまで大きなトラブルなく旅を終えることはできました。
とはいえ、これはもちろん滞在期間中、最大限に注意を払っていたためだと思っています。基本的に単独行動をしない、深夜・未明は出歩かない、移動は基本的にタクシー等を使用する、等々。
基本的な行動を守っていたからこそ、無事に旅が終えられた、というのは言うまでもありません。
ただそれで終わってしまうと参考にはなりません。
それだけ気を付けてはいましたが、それでも自分がベトナム訪問中には、3つ不安の思う経験をしました。注意喚起として、ここにまとめます。
偽Grab・偽タクシー
入国してすぐ出会った偽Grab


まずは私自身の体験談から。
ベトナム・ハノイのノイバイ国際空港に到着し、入国手続き・両替も完了。
市街地に移動しようかとスマホからGrabでタクシーを配車した時のことです。
「Hey! Grab! Grab!」と、Grabの公式ロゴの紙を掲げたあやしいおっさんに声をかけられました。当たり前のようにGrabのロゴが書かれた紙を掲げていて、しかも堂々と空港出口からすぐ、真正面にたっている。
とりあえず無視することにしました。しかし、なかなかドライバーが来なくて、向こうから声をかけられます。
おっさん「Grab ?」
わたし 「はい」
おっさん 「OK、こっちにきて!」
わたし 「もうGrabは呼んでいるので大丈夫です」
おっさん 「そのGrab、私だよ!」
わたし 「本当?」
おっさん 「そう、だからこっちに来て」
わたし 「車はどこですか」
おっさん 「(私のスマホを指しながら)まずその画面からキャンセルを押して!」
なんでだよ。キャンセルする必要ねえだろ。
この時点で絶対何かの怪しい白タクと判断して無視。ノーサンキューで押し通しました。
でもこのおっさん諦めずにずっとGrabの紙をもって立ってました。ずっとちかくで、きなよ!きなよ!っていいながら。いかねえよ。
こういう時に限ってなかなか呼んだGrabが来ないんですよね・・・。ただこの状況でキャンセルしたくなかったんで、やっと来た本物のGrabに乗り込んで、無事市街地に入ることはできました。
正直、この時はGrabも使い慣れていたわけじゃないので、話を聞いてしまいましたよ。あまりにも当たり前に公式ロゴを掲げているので、なんか誘導の人か何かなのかな?と。
たんなる無関係のぼったくり白タク野郎です。
分かればなんてことは無いのですが、この時は事情により一人で初めてのベトナム入国。右も左もわからない中でした。
大した事ではないのですが、とはいえやっぱり実地でこういうトラブルに合うと、なかなか疲れますね・・・。入国してすぐこれか、と。
Grabとは
最初にベトナムへ訪れる前に、もはや必須知識となっているGrabについて簡単にご説明します。知ってる人は読み飛ばしてください。
Grabを知らないという方でも、Uberは知っている方はいるかもしれませんね。どちらも主に海外で使われている、スマホアプリによるタクシー配車サービスです。 アプリ一つでタクシーが目の前まで来てくれるので、割と便利なサービスです。
そんなUberは日本の都市部では使えたりもするんですが、東南アジアからは2018年に撤退して、Grabに東南アジア事業を売却しています。ですのでもちろんベトナムでも、もはや配車アプリはGrabのみとなっています。
このGrabは本当に、特に東南アジアでは革命的な交通手段です。
今まで東南アジアのタクシーは基本的に評判が悪く、ぼったくりやメーター改造は良くある話、乗るのが不安で仕方ないサービスでした。
しかしUberはまず、乗る前に料金が確定しています。そのため回り道をしても無駄ですので、さっさと仕事を終わらせたいドライバーは最短距離で目的地に向かいます。さらに運転手・利用者が相互にレビューすることで、問題のある運転手にはそもそもお客さんが回ってこないようになっており、運転手はきちんとサービスを提供しようと努めます。
全体として、ぼったくられず、確実に目的地まで運べるようになっていることから、タクシーが不安がられていた東南アジアでは爆発的に普及しました。
日本にいると感覚が分からないと思いますが、東南アジアではGrabはもはや市民に、日本で言うLineのごとく浸透しきっているのです。みんな当たり前に使えます。ホテルにいっても「Grab?Taxi?」って聞かれるぐらい当たり前に使われています。
なので極めてメジャーな交通手段であることは、意識していてください。
偽Grabが空港に出没
で、そんなGrabなのですが、配車はスマホで行います。
スマホで現在地と目的地を入れると、勝手にドライバーをアサインしてくれて、ドライバーが入力した目的地まで連れて行ってくれるサービスです。
ご当地でGrabを使う気がなくても、スマホのサービスということだけは覚えていてください。
ここまできて、最初の偽Grabの話に戻ります。
緑色のグラブのロゴの紙をもって、「Grab~Grab~」っていってる偽Grabがいるのです。
前に書いた通り、Grabはスマホから申し込みをするサービスです。そんな空港でGrabでーすっていって乗せるサービスではないんです。ありえないんです。
基本的に全部スマホで完結させるのがGrabです。(支払いだけはクレジットカードと現金を選べますが)
ただ前述した通りGrabは安全でぼったくられないと評判が良いため、よくわかっていない観光客が、「Grabのってみようかな」と勘違いするのを狙っているのです。
なので注意してください。Grabはスマホでアプリを入れて、申し込みしないときません。それなのにGrabって言ってるのは他の人のGrabか、偽Grabです。どちらにせよ乗らないでください。
特に偽Grabはそんな手の込んだことをしているくらいなので、乗った後どうなるかわかったもんじゃありません。ぼったくられるだけならいいですが、そのままどこへ連れ去れるのかわかったもんじゃありません。
タクシーも偽物がある


じゃあタクシーなら安全なのか。
そんなわけはないですね。基本的に東南アジアのタクシー全般、信じられない乗り物と思ってください。東南アジアどの国にいっても、ぼったくりやメーター改造は本当によくある話です。
とはいえ、ノイバイ国際空港にきちんと正規の手段で乗り入れているタクシーは比較的評判は良いようです。タクシーに乗るのであれば、きちんとノイバイ空港の正規のタクシー乗り場から乗りましょう。空港の案内表示に従った場所から乗ってください。念のため事前に、価格を確認しておくとより万全でしょう。相場は40万ドン前後です。
問題はやはりここでも、客引きの白タクですね。
基本的にノイバイ空港では、向こうから声かけてくるタクシーはNGです。正規のタクシーは日本のタクシーと同じように順番待ちして乗るタクシーです。
また、市街地に入ると今度は偽タクシーがいます。それっぽい塗装と装飾をして、本物っぽい雰囲気をだしている偽物タクシーです。
現地の人であれば見ればわかるのでしょうが、観光客にはどれが正規の塗装かなんてわかったものじゃないので、これも困りものですね。
また偽物ではなくても、評判の悪いタクシー会社もあります。こういったところではメーター改造やぼったくりなども横行しています。
移動手段は、Grabが確実かつ無難
前述した偽Grabにより、いきなりベトナムが不安にはなりましたが。
しかし本物Grabにさえのってしまえば、皆さん安全・確実に目的地まで運んでくれます。私自身結構な回数Grabにのりましたが、どの国でも不安な思いをしたことは一度もありませんでした。
Grabはアプリ上でナンバーとドライバーの写真、名前が出ます。自分が乗るGrabなのか、きちんと確認してから乗車しましょう。それだけしておけば、私自身は特にトラブルに合うことはありませんでした。
現地のタクシーは、もちろんまともなタクシーもいるのですが、偽塗装とかタクシー会社によって違う信頼度等、観光者には利用する難易度が高すぎます。Grabはおおむねの都市部(ハノイ・ホーチミン・ダナン・ホイアン等)では普通に使えます。余計な心配をせず安心に移動するために、非常におすすめします。
交通事情が最悪
ベトナムは原付天国
まずはこの写真をご覧ください。


こちらはハノイ旧市街の道路の様子です。ベトナムといえば、原付。この国、原付天国なんですよね。基本的に1車線に2~3台が並走しながら、大量の原付が走り回ってます。うるさいし排気ガスがすごい。
と、写真一枚だけ見るとあー、ベトナムだからねーとなるんですが。これが現地いくと結構なダメージなんです。
これだけ大量の原付(もちろん車もいます)が走っているのですが、全然信号がないんです。でも、道は渡らないといけない。原付がどんどん走っている中を歩いて渡らないといけないんです。
イメージ付かないと思いますので、今度は動画を。
ここはまだ緩いほうです。大通りなので。もっと狭い通りでもこのくらいの台数が走っていることがあり、そこは本当に怖いです。
で、横断歩道しかない道がある。信号がないんです。もちろん人がいても誰も止まってくれない。どうするかというと、この中を普通に歩いて渡るしかない。
怖くないですか?
怖いんです。最初は道が渡れず、同じところで10分くらい立ち尽くしていました。そこでいつまでも立ち尽くしてられないので、ほかに横断する人を壁にして渡ることを繰り返しました。
渡る人がいないときは場所を変えるかわたる人がくるまでまってから渡りました。
そうこうしているうちにだんだんなれてきて、渡れるようになるんですが・・・。非常に疲れます。本当に疲れるんです、これ。
いつひかれてもおかしくないですからね。
一日が終わる頃にはぐったりしますし、あの街中に出たくない、となります。それくらい本当に疲れるんです。
交通事故は普通にある
ただはじめは、交通事故を見かけなかったんですよね。
これだけ車と原付が入り乱れてて、よく事故らないなあと思ったのですが。
私は、ベトナム滞在3日目に、市街地でGrabで移動中に目の前で事故がありました。隣の車線の前の車に、その後ろの原付が突っ込んで事故ってました。接触事故。原付は二人乗りしてて、後ろの女の子は落ちてましたね。
たまたま更にその後ろの車の、隣の車線があいてて、避けて後続車を巻き込むような事故にはなりませんでしたが。
落ちた女の子大きなケガしてないといいけど、くらいですみました。
・・・これ、上の映像みたいにもっと車がいたらどうなってたんだろうな、と思います。
本当にたまたまだったと思うんですよね、後続車のタイミングが良かったというか。普通に混んでる道でしたし。
あのまま事故車に後続車が突っ込んでてもおかしくない交通状態ですからね・・・。
これを見て思ったのですが、日本で他人が事故を起こしてるの見たことがないんですよね。(自分が原付で1回だけコケたことと、自分の車を他車にぶつけたことは1回だけありますけどね!)
なかなか事故を、それも目の前で起きてるの見かける事って皆さんもそうそうないんじゃないでしょうか。
ベトナムでは案の定というか、交通事故は多いです。
あの原付のすぐ後ろに自分が乗ってたGrabがいても全然おかしくなかったわけで。そう考えると恐ろしいですね、本当に。
皆様シートベルトはしたほうがいいです。自分の車じゃなくても周りの車が勝手に事故ります。よけきれないとき、あると思います。
歩行者専用の道に原付が走っている
とはいえ、歩道を歩いていれば安全でしょ?
・・・という気持ちはわかるのですが、そうでもないんです。
さすがに歩道に突っ込んでくる原付は、そう簡単にはいないんですが。
これが夜になると、完全に渋滞になる事があります。もう原付も15キロくらいしか出せてない、ノロノロ運転の渋滞です。これが2キロくらい延々と続いていたりします。こんな感じ。


さすがにここまで混んでる幹線道路はそうそうないのですが、こうなってくると原付も車も全然すすめません。
で、嫌になった原付は歩道を走りだします。普通に。結構なスピードで。
それも歩きながら1台2台みかけた、とかいうレベルじゃないんですよね。大体常に原付はいるので、常に歩道を走っている原付に注意しながら歩かないといけない状態です。歩道を安心して歩けないんです。
じゃあ歩行者天国とか、そういうところなら大丈夫なのか。(ハノイならウィークエンドナイトマーケットは歩行者天国ですね。)
もちろん、歩行者天国の道に原付が突っ込んできます。
あれは本当なんでなんですかね・・・。
歩行者天国なんで結構人もいて、大変だと思うのですが原付は走っています。
さすがにこれはそんなに台数いないのですが、10台以上は1回のナイトマーケットでみかけました。
とにかく交通事情が悪いのがベトナムですね。
回避策
これらの交通事情は、回避策がないわけでもないです。
まずはダナンであれば、そこまで原付の数は多くないです。
(あくまでハノイと比べた場合ですが)
道も比較的広いこともあり、ハノイと比べて落ち着いた観光ができます。
なのでダナンはかなりおススメです。
とはいえハノイやホーチミンにそれだといけなくなってしまいます。対応策としては、例えばハノイであれば、ハノイ旧市街地を極力避ける事でまだましになります。
交通事情が一番悪いのは、ホアンキエム湖を中心とした旧市街地です。なのでこのあたり一帯は極力避ければまだ何とかなります。
ハノイ旧市街地から少し離れたの五つ星ホテル(おそらく、それを狙ってインターコンチネンタルやシェラトン、パンパシフィック等の外資系高級ホテルは離れた場所に多くあります)に宿泊し、観光はホーチミン廊(あの近辺は観光地しかないため、混雑がまだましです)等を中心にする。
こうしておくだけで結構楽になります。自分はあまりこのあたりを考えずに旧市街地のど真ん中のホテルに宿泊してしまい、外に出るのが若干憂鬱な時もありました。
ごめんなさい、ホーチミンはよくわかりません。
人が多すぎる場所がある
原付が多すぎる、というお話のあとは、そもそもの人が多すぎる、というお話を。
場所によっては、かなり人が多すぎる場所がありました。特にこの中だとすりに警戒しないといけないですね。もっとも、これは「行かない」という選択肢もあるので、なんとかなるものですが。
私自身が、あ、これは気を付けないとな、と思った場所を3箇所あげます。どれも道が狭い中、観光客と現地の方でごった返すエリアになりますので、すりやひったくりに十分注意が必要です。
ナイトマーケット


人が多すぎる場所の筆頭格は各地のナイトマーケットですね。特にハノイのウィークエンドナイトマーケットはかなりの人混みでした。
自分は注意していたこともあり特に被害にはあいませんでしたが、これはすり、でますね。いるでしょうね、といった感じ。
特にお財布を出すことも多いでしょうし、注意が必要ですね。
各地のローカルマーケット


各地のローカルマーケットも、特に人の多いエリアです。
ハノイでいえばドンスアン市場、ホーチミンはベンタイン市場、ダナンはハン市場といった観光客向けの市場がとくに有名ですね。各都市に1箇所はあります。これらの市場では食品から衣料品からお菓子から雑貨まで、一通りそろう事もあって現地の方はもちろん観光客でもごったがえしています。
こちらはかなり曜日や時間帯にもよりますけど、なにせ道が狭い中で人がそこそこいます。ここもすりに要注意ですね。
ホーカーズ


最後はホーカーズ。
写真はハノイでも一番盛り上がっているエリアのもの。この勢いが延々と続いています。かなりの人混みです。
個人的にはこのホーカーズが一番危なそうだなあとおもいました。皆さんお酒も入っていますからね・・・。狙うならこういうのが一番狙いやすそうですよね。
そして圧倒的な人人人人。
正直、移動するのも大変なレベルでした。というか通りたくないレベル。ただベトナムの熱気を一番感じたエリアでもあります。すげえなベトナム、と思いました。
(おまけ)PM2.5
ここまでで3点終わっているのですが、最後にちょっと治安とは毛色が変わってしまうので、PM2.5についても触れておきます。
ベトナムの大気汚染は、かなりひどいです。駐ベトナム日本国大使が着任直後に感じたことは、「街の活気」と「大気汚染」だったというレポートを出すほどです。
仰る通り、私もベトナムに入ってまず感じたことはこの2つでした。
大気汚染に関しては、インドや中国といった大物がすぐ近くにあり、ほかの国は目立たなくなりがちではあります。ただベトナムの大気汚染はかなり深刻な状態です。
理由としては旧式の火力発電や、排ガス規制のされていない古い原付・車の影響、そして地形としても空気が滞りやすい形状をしている、というのがあります。
結果として、特にハノイは大気汚染が深刻になってきています。(体感としてダナンは海沿いのせいか、そうでもありませんでした。)
ただ言葉でいっても分かりにくいと思うので、文字のほうが早いですね。こんな感じです。


こちらはノイバイ国際空港とハノイ旧市街地を結ぶニャッタン橋の様子です。見ればわかると思いますが、前が見えません。これ、おおむね排気ガスです。左端にうっすら棒があると思いますが、これが橋のケーブルです。上のほうはもう見えないんです。


横から見た光景です。ご覧の通り、高層ビルの上のほうがかなり見えずらい感じになっていますね。橋のすぐ隣のビルですらこれです。
これらはベトナム滞在中でも一番悪かったタイミングではあるものの、こんな感じです。真っ白で景色も見れない。市街地も終始こんな感じで、あまり前が見える感じではありませんでした。
だいたい曇+霧になると、これに空気中に滞留した排気ガスが加わって、こんな感じになります。特に排気ガスは歩いてるだけで気分悪くなります。マスクは必ず持参することをお勧めします。
さいごに


以上、ベトナムの治安状況についてまとめました。
いろいろ書いておいてあれですが、正直ベトナム滞在中には大きな問題はありませんでした。気になった点を全部あげて以上、といった所です。いろいろあげましたが、気を付ければなんとかなる範囲だと思います。
ただ個人的には、Grabさえ使えれば、あとは原付もそこまで多くなく、人が多すぎることもなく、大気汚染もそこまでひどくないダナンはかなり一押しです。
正直またいくならダナンに行きます。
ダナンは本当に文句がつけようがなくて最高でした。安くて治安も良いほうでごはんもおいしくて人も優しかったです。
ダナン、おススメです。
とはいえ、ハノイがじゃあお勧めしない、というわけではなく。
これを差し引いても、余りあるベトナムのパワーを感じたいならハノイはおススメです。なんていうか、いろいろと圧倒されます。ここでは悪い事ばっかりかいてますが、もちろん滞在中はプラスな事もいろいろ感じて、トータルでハノイへ行ったこと自体は非常に楽しかったことだけはお伝えさせてください。
ただ、マイナス要素は絶対いやだ!というかたはダナンのほうがいいかなと。
マイナスもプラスもあわせて、ベトナムの東南アジアの雑多な感じを味わいたい!というのであればハノイはもちろんおススメできます。ホーチミンもハノイよりだと思っています。
どちらかといえば男性旅はハノイ、女性や子連れならダナン、といったところかなーと思います。
皆様の旅のお役に立てば幸いです。