普通にベトナムの観光だけを全力で楽しむ男2人(両方とも既婚)のベトナム旅行記です。ベトナムらしいいろんなトラブルも発生しながら、どたばたしつつの旅の模様をお送りします。ベトナムへ行く方の参考になれば。
この時はマレーシアから私一人ベトナム・ハノイ入りし、ハノイで合流して旅をするプランになっています。旅行日程はこちら。
- 1日目:クアラルンプール→ハノイ(同行者と夕方ハノイで合流)
- 2日目:ハノイ→ダナンへ朝移動
- 3日目:ダナン→ハノイへ夜中移動
- 4日目:ハノイ(同行者は深夜便で帰国)
- 5日目:ハノイ→クアラルンプールへ朝移動
この記事では1日目をまとめました。
マレーシア
エアアジア マレーシア・クアラルンプール発ベトナム・ハノイ行きAK516便


短かったマレーシア滞在はいったん終わり。ここからはクアラルンプールからベトナム・ハノイへ向かう。本日のお昼過ぎに、ハノイ現地のホテルで同行者と合流する計画だ。海外一人旅が初めてのくせに、更に現地集合なんていう無謀な事を計画したなとは思う。無事合流できるのだろうか。
Tune Hotelをチェックアウトし、KLIA2へ。空港隣接のホテルっていうのは歩いて行けるので助かる。ただ私自身はそれでもびびりなので、出発二時間前にチェックアウトした。


本日の便はエアアジア、AK516。現地時間06:05クアラルンプール国際空港発、現地時間08:15ベトナムハノイ・ノイバイ国際空港到着。搭乗時間は3時間ちょっと。今回座席はホットシート、一番先頭の足元が広い席なので安心。いくらでも足を伸ばせる快適さは最高だ。朝早い便だったので、機内ではうたたねしながら無事ハノイへ到着。
ベトナム・ハノイ
ハノイ・ノイバイ国際空港


今回ベトナムは初めて。治安はマレーシアよりは悪いがフィリピンよりは良いぐらいとのことで、やや悪いがまだ警戒すれば大丈夫なラインと考えていた。到着後は、空港が結構立派でキレイな事に驚き。どうもこちらの空港、日本の政府開発援助によって2015年にできたばかりの空港なんだとか。実際かなり立派な印象だ。
これまで訪れていた、マレーシアやシンガポールは一度訪れたことがある国。なので勝手もわかっていれば、警戒しなきゃいけないポイントもわかっていて、そこまで怖さを感じることはなかった。ただ、今回訪れるベトナムは完全に初めてである。そしてなにより、たった一人。少し、心細い。


入国して、ロビーに出た。さあここから自由行動である。
空港で両替して、現地のSIMカードを購入。しかし空港のsimカードが高い。とはいっても250,000ベトナムドンなので1250円くらいではある。ただ実際は物価の安いベトナム、もっと安いプランもあるので、完全に外国人観光客は足元見られているなと感じる。
とはいえスマホが繋がらないほうが怖い。英語が一切しゃべれない自分には、旅のすべての命綱はスマホである。万が一に備え、更にもう一台予備のスマホを持ってきているくらい大事にしないといけない。
空港を出る準備は完了した。さあいざ、市街地へ!


そして1時間後、ハノイの市街地へ到着・・・はせず、まだ空港の同じ場所にいた。
ハノイ・ノイバイ空港からは電車等がないため、市街地に出るにはバスかタクシーが一般的。外国人は大体タクシーである。念のため、タクシーの情報をスマホで調べてしまったのが悪かった。見たら大体、悪い体験談しか乗っていないんですよ。今冷静に考えれば、まともについたことはいちいち書かないから、当たり前だ。ただ、それでも、何か得るものがあるのではないかとタクシーでの恐怖体験を読みふける。
・・・怖いぞ、と。
そりゃそんなんばっか読んでいればそうなる。だんだんと、このまま同行者が空港に来るのを待ったほうがいいんじゃないだろうかとか考えだしてしまう。勝手にベトナムにきて、スマホで直前に恐怖体験を読みふけって何をびびっているんだと今は冷静に思う。とんだ情けないビビり野郎である。
だんだんと落ち着いてきて、「俺、何しにベトナム来たんだろう」とやっと当たり前の決意を固める。そう、ここへは旅行にきているのである。同行者の到着予定は7時間以上後。せっかくベトナムに来て、なにもせず無駄に7時間を過ごすのか。もったいなさすぎる!


到着ロビーを出て、ハノイの地へ。外は思いのほか寒く(ベトナムも南部は常夏なのですが、北部のハノイは12月~1月のごく短い時期、寒い時期もある)、直前までいたマレーシアとの差に驚く。
そして見事なまでのクリスマス装飾。ハノイではクリスマス装飾は長い所は5月くらいまで出していると別のツアーでガイドさんから聞いた。もったいないからだそうだ。とはいえ、日本もツリーをがなくなるだけでイルミネーション自体は使いまわして2月くらいまでは使っているな、と思った。そう考えたら似たり寄ったりである。
到着ロビーで意を決して、スマホからぽちっとGrabでタクシーを呼び出す。そう、1時間の間にベトナムでもGrabなら割と安心というネット情報を見つけ、やっとGrabでいく決意を固めたのである。途中、Grabへ今いるポールの番号の問い合わせが。あたりをぐるりと見渡すと「15」の表記があったので、到着ロビーの15番のポールの近くにいるよ、と返答。あとは待つだけだ。
偽Grabとの遭遇


Grabを待ってぼーっとつったっていると、とことこと近づいてくるベトナム人男性。見れば、緑色のグラブの公式ロゴを掲げている。
「Grab?」
話しかけられると思わなかった。
「Yes」
「OK. Plese follow me.」
「…Why?」
私自身、Grabはランカウイで初めて使い、まだデビューして3日目である。使い方に慣れていない。ただ、Grabはドライバーが決まったら、顔写真と名前と車のナンバーが出る。とはいえ、大変申し訳ないのだが、ベトナム人の顔の区別が全然できない。この顔写真の人と、今目の前にいる人が違うのかどうなのかが良くわからない。この人が話しかけてきた意図が分からない。
「(遠くのほうを指さしながら)My car is there.Come here.」
「(スマホ画面を見せながら)You are my grab?」
「Yes!Yes!」
・・・なんか違う気がするが、車のナンバーはわかる。行ってみて車のナンバーを確認すればよいか、と、ついていこうとしたときに。
「OK. Please push cancel button on grab app.」
そうそう、キャンセルボタンをぽちっと・・・
押すわけねーだろが!
・・・なめているんですね。気の弱そうな日本人がいるからってなめているんですね。この時点で完全に違うと判断。のっけからこれである。ベトナム、怖い。ただまだ話しかけられただけだ、文句の一つでもつけて離れよう。
「…」
・・・英語で、文句が言えない。
自分の英語力が悲しい。明らかに目の前の人間が、自分をだまそうとしているのが分かっている。今非常に憤りを感じている。文句の1つや2つ、言ってやりたい!
ただ、英語でなんて言っていいのか、まったくわからない!
「…No Thank you.」
なんとか絞り出た言葉がこれでした。これほど自分の英語力の無さを、悲しく感じたことは無いです。情けない。本当に情けない。これだからなめられる。これだからカモにされる。
そのあともぐだぐだ言ってきてましたよ、こっちのがはやいよ、とか、安くするよ、とか、まだこないのか、とか。悲しい事にこの時、私が呼んだGrabの人は何だか知らないんですがなかなか来ない。何故こういう時に来ないのか。気だけピリピリとします。あいかわらずぐだぐだ話しかけてきますが、だから俺は英語喋れねーんだよ!「No」しかしゃべれねーんだよ!ただ俺はNoが言える日本人だからな、Noって言い続けてやるからな!


だんだんと向こうもあきらめたのか、しゃべりかけなくなった頃に到着するGrab。ドライバーが下りてきた。
「Grab?」
話しかけ方は同じだが、こちらは自分のスマホ画面を見せてきた。見ると、私の名前が画面に表示されている。Grabの設定で、ドライバーのスマホには呼んでいる自分の名前が出るようになっている。そして私のスマホに出ているドライバーの顔写真と見比べれば・・・ベトナム人の顔わかんない。こういう時はナンバーを見ればいい、車のナンバーも出てるんだから。
そしてとことこ車に向かい、ナンバーが一致・・・しない!Grabに出ているナンバーと、今目の前にある車のナンバーが違う!
「Sorry.Change Car」
こちらが怪しんでいる様子を感じたのか、ドライバーが弁解を始めた。チェンジカー?車かえた?なんでよりによって今日変えるの?つうかベトナムなんなの?みんな俺をカモにしようとしてるの?ああもう帰ろうかな、本当。
しかし兄ちゃんはなんとなくまともそうに見えて、こちらの空気を察して申し訳なさそうに弁解しようとしている。車自体は普通に新車っぽいオーラを放っていて、まともに見える。兄ちゃんはスマホ画面を出して、ほらほら、これあなたでしょ?とアプリの表示を見せる。
そしてこちらがトラブってるのを好機とみたのか、最初の偽Grabが近づいてくる。いや、お前はもうお呼びじゃないから!
とりあえずめちゃくちゃ申し訳なさそうなオーラを出している兄ちゃんが悪い人には見えなさそうだったのと、向こうのアプリに自分の名前が出ているので間違えなさそうなこと、あとさっきの兄ちゃんがこっちによってきている事から、もう乗ってしまおうと決意。後部座席へ乗って、車は発車した。
ハノイ市街地へ


乗りながらソーリー、チェンジカーと言いながら何度か謝る兄ちゃん。運転はかなりまともだし、GPS上もGoogleのルートから外れずに行っている。とりあえず問題はなさそうな感じ。
ノイバイ国際空港からハノイ市街地まではおおよそ30キロ、45分といったところ。この時のGrab代金は341,000ベトナムドン。1705円程度。安い。しばらく乗っていると落ち着いてきて冷静になる。入国でいきなりカモにされるとは正直思っておらず、油断しまくっていた。反省である。
当日は天気が悪く、濃霧が立ち込めていたため目の前の様子がほとんど見えない。視界が悪すぎる。300メートル先も見えない。とはいえ、景色が見えない分、これからどうしようというのを冷静に考える。
確かに幸先が悪かった。勝手に一人でベトナム来てビビっている中、いきなりタクシーに乗ろうとしてカモられた。しかもGrabがなかなか来ない上に、呼んだGrabのナンバーも違うときた。
ただ、とはいえこの兄ちゃんはそんな悪そうには見えず、むしろ真面目そうな感じだ。運転も丁寧。いきなり偽Grabにはカモられて印象は悪いが、まあ空港が狙いやすいだけだろう。これ以上はそうそう悪い思いをすることも無いだろう。とはいえ、気を引き締めていこう。


そう今後の作戦を練っている私の脇で、車はぐんぐんと市街地へ近づいていく。霧は晴れない。原付の数が多くなっていく。
東南アジアは原付が多い。とはいえシンガポールもマレーシアも、そこまで多くの原付を見ることは無かった。(多い印象はあったが)これらの国と比べると、ベトナムは段違いに原付が多い。この様子、イメージしていた東南アジア通りで、ああ、違う国にいるんだな、という事を強く感じた。


車は中心部のメイン道路へ。あともう少し進んで、小道に入れば本日宿泊するホテルが見えてくる。メイン道路に入って渋滞が激しい。・・・これ、原付多すぎないか?
っていうかこれ、多いっていうレベルなのか?1台の車の隣に2~3台原付走っているけど?つーかなんで当たり前に1車線で2台の原付が並走してるの?ヘルメットつけてないやついるよね?あと3人乗りしてるやつもいるね?これ事故ったら玉突き具合半端ないよね?
車道は2車線。片側が車だめ。片側は原付で埋まっている。そして原付、渋滞のろのろの車を当たり前にガンガンすり抜けていく。・・・なんなんだ、この国。そして車は最後に、細い路地へ入っていく。
片道1車線の道には、びっしり原付が埋まっていた。
この光景、俺は見たことがある。マリオカートだ。マリオカートのスタート直後、みんな密集しながら最初にアイテムに向けて走っている感じにそっくりなんだ。もしここで、バナナの皮でも撒こうものなら、大惨事である。大丈夫なのか?


車は非常に低速で、のろのろと原付の大群へ突っ込んでいく。その車をかき分けながら、原付は隣を追い抜いていく。ありえない。日本じゃ絶対ありえない。
車はホテルへ到着。ドライバーにお礼を言う。ナンバーが違ったのには困惑したが、それ以外はかなりまともな兄ちゃんだったったし、新車だったので(車の中だけは)快適だった。Grabは五つ星つけといてあげよう。ありがとう兄ちゃん。そしてホテルの前の道を大量の原付が行きかっている姿を見ながら、とりあえず外出はしたくなくなった。現在の時刻は10時。チェックイン時刻は15時。まあ、どっかの部屋があいてるだろう。
ハノイ市街地の移動


「申し訳ございませんが、まだお部屋の準備ができていません。12時頃でしたらお部屋のご案内ができるのですが」
まあ、そりゃそうですね。そうでしょうとも。大体、当日のチェックアウトの時間にもまだなってませんしね。とりあえず荷物のリュックだけ預ける。どうしようか考えたが、ホテルのフロントに座っていても仕方ない。まだ同行者は日本から出発したばかりだと連絡が来た。しばらく来そうにない。朝ごはんもろくに食べてないし、なにかカフェで軽く食事をしたい。


外を見る。行きかう原付。怖い。とはいえ、側道を歩いていけば何とかなるだろう。
ホテルから市街地中心部のホアンキエム湖までは350メートルほど。そこのすぐ近くに、おいしいエッグコーヒーで有名なカフェ「フォーコー」がある。このくらいならいけるだろう。
そう自分に信じ込ませ、カフェへ向かう。
一歩外を出て、歩き出す。原付の多さに驚くが、側道を歩いている分にはまだなんとかなる。結構なスピードで原付が隣を走り抜けていくが、側道があるのでまだなんとかなる。まあ、これくらいならいけるか、と思いながら、少し大きい通りへ差し掛かった。横断歩道を渡ろうとする。
・・・信号が、ない。


道路にはひっきりなしに行きかう、原付と車。意味がわからない。これを信号無しで渡れというのか。
ふと周りを見渡すと、同じような観光客が、当たり前のように車列に突っ込んでわたっている。日本だとあり得ない光景だ。この国には横断歩道を渡る人がいたら、よけながら突っ込めという文化のようだ。歩行者がモーゼのように見えた。
やはり、あのまま帰ってしまったほうが良かったのかもしれない。こういう時は文明に頼るしかない。そう、私にはスマホがある。スマホさえあれば、何でもできるはずだ。いくつかのサイトを見て、そこには概ねこんなことが書いてあった。
「一定のペースで歩いて突っ込め」「走りはするな」「手を横に突き出しておけ」
先ほど見かけた観光客がやっていた事が日本語で書いてあった。つまり、あれを真似しろというわけだ。できねーよ。
とはいえこのままだと進めない。ただ渡る人はいる。もはやこいつらを壁にしてしまおう。先にわたる人を見つけて、その人を壁にしながら歩道を渡る。理解できないタイミングで突っ込んでいくので、こちらの心臓が跳ね上がって仕方ないが、はねられるときは先にこの人がはねられるはずだからその隙に逃げようという最低の考えをしながら人を壁にして歩いていく。絶対突っ込んじゃいけないタイミングで行く様子に驚くが、しかしここは道のど真ん中なわけで、立ち止まったらはねられるのは俺だ。ついていくしかない。
そして、みんな見事にはねられない。
不思議だ・・・。幸い、350メートル。渡らなければいけない道の数は片手で数えられるくらい。これで行けばとりあえずカフェにはたどり着ける。ただ、今まで生きてきた人生の中で、一番長く感じたことは間違いない。
カフェ フォーコーで休憩


美味しいエッグコーヒーで有名なベトナムのカフェ。お店は完全に観光客向け。お値段がお高め(とはいえ40,000ドン、200円程度なのだが)な所からもそれが垣間見える。


入口が非常に分かりにくい(というか看板には別のお店の名前が出ていて、別のお店の中を潜り抜けて、その奥にカフェの入り口がある)事で有名で、初見の人は「え、ほんとにここなの?」と戸惑う事が多いのだとか。かくいう私も初見であり、ビビりな自分はいつもなら存分にビビって入らないところだ。だが、この時はもはや疲れ切っていて一刻も早く座りたく、迷うことなく入口に入ってオーダーして席へ。


味はかなり甘く濃厚なコーヒーだった。練乳たっぷりで甘々のベトナムコーヒーの上に、また練乳をいれて泡立てたたまごを乗せた感じ。口当たりはかなりまろやかな泡なのだが、卵の濃厚な風味と強烈な甘さのインパクトが強い。とはいえ、マレーシアやシンガポールで親しんだ激甘コーヒーの系列であり、自分自身としてはかなり好みである。甘いコーヒーが嫌いな人には、罰ゲームでしかないんだろうな。一緒に頂いたチョコレートケーキも濃厚で甘い。甘いのと甘いので口の中がとけそうになる。


屋上の席で、一人ベトナムの市街地を見下ろす。周りはカップルなり団体さんなり、いずれにしてもアジア人の比率が高い。一人の客は自分ぐらいだった。まあそりゃそうだ。コーヒーを飲みながら、自然とため息が出る。
・・・このあと、どうしよう。
350メートル離れたカフェへくるのに、20分かかる始末だった。同行者はまだまだしばらく来そうにない。ぶらぶら市街地を散策しようと思っていたが、まさか350メートル歩くのにこれだけ体力を奪われるとは思っていなかった。街を歩くのに集中力が非常に必要である。


そしてバカなことに、空港の両替レートは悪いだろうと、現金はそんなに多く両替していなかった。手持ちがあまりない。市街地から1キロも歩かない場所に有名な両替エリアがあるというので、散歩がてら行こうと考えていた事を後悔した。350メートルの6倍を歩かないといけない。おそらく、1度くらいは跳ねられるだろう。
とはいえ、ホテルに戻ったところで、部屋に入るにはまだ1時間以上は必要だ。そして今軽く食べたのでもう朝食はいいが、お昼はきっちり食べたい。今後の活動のためにも、現金は必要だ。
調べた限りでは、皆が口をそろえて、最初は怖いがそのうち慣れるという。慣れた人はそういうよね、こっちは最初で怖いんだよ。とはいえ、甘々のコーヒーで一息付けて冷静になってくると「これでホテル帰ったら高い金払ってお前はハノイに何しに来たんだ」という冷静な気分にもなってくる。
行くしかない。何事も経験だ。とりあえず人の壁さえあれば横断歩道も渡れそうだ。いきなりの街の風景にビビったが、とりあえず両替して飯を食おう。
カフェで落ち着けたせいか、少し晴れやかな気分になって街を歩きだす。エッグコーヒーが思った以上においしかった。不思議なパワーが出てくる。せっかく来たベトナム、楽しまないと損だ。
エッセンスハノイホテル&スパで同行者と合流
結局ホテルへ戻ったころには、16時になった。疲れた。


カフェから有名な両替所エリアまでの往復はやはり、細い道も多く原付だらけだった。ただ、とりあえず他の人を壁にしながら歩けば歩けないことも無い。たまに人がいない事もあったが、そういう時は待つしかない。非常に不便である。そして両替所、確かにレートは良かったが、言うほど変わらない。10000円両替して、空港との差額は日本円で19円。19円のために非常に無駄骨を折った感覚がある。
ただ、悪い事ばかりではない。とにかく街中を歩いてスパルタ方式で鍛えたせいか、だんだんハノイの交通事情にも慣れてきた。ベトナムではこれが当たり前だから、周りの車や原付も人はいるものと思って運転している。こちらが突飛な動きをしない限りは避けてくれる。最後には慣れて、なんとか1人でも行けるようになってきた。


そうなってくればこちらのもの、昼食はハノイ中心部のスポーツバー的なお店、BLACK JACK’Sに伺う事に。食事は肉料理が中心で、ハンバーガーなどもあった。


頂いたのはこちらのチキンハンバーガー。185000ドン。(約925円)味はかなり濃厚で普通においしかった。これで大分気力も回復。


まだ合流には時間があったので、最後はホアンキエム湖を散歩することにする。それにしても今日は霧が濃い。対岸がかすんで見え、特に奥の高層ビルなんかは真っ白に見えた。ただ、これはこれで風情があって面白い。のんびり湖沿いに腰掛けながら、周りの景色を楽しむ。最初こそトラブルに圧倒されたが、こうやって落ち着く時間になってくれば、海外に一人で来るのも悪くないな、と思ってくる。
そして時間になったので、ホテルへ戻ってきた。
ここで同行者と合流する。お互いに日本在住の日本人同士、ハノイの中心部で合流というのも良くわからない事をしている実感がある。とはいえ、スマホさえあれば適宜連絡も取れるため、合流は非常にスムーズだった。男二人、何気にすることない、気ままな旅行である。
さて時間がもったいない、早速観光に出る事にする。
ホーチミン廊


夕方のハノイは退勤ラッシュで渋滞がひどい。それもそのはず、実はハノイ市の人口、778万人もいる。東京23区の人口が921万人なので、二回り位少なくはあるのだが、それでもかなりの人口だ。それなのに、中心部には地下鉄もなければ電車も長距離列車しかない。市民の足が全て原付なのだから、そりゃあ渋滞もするだろう。
とはいえ、目の前の原付のあまりの多さが嫌になっていたが、退勤ラッシュと考えれば日本の満員電車も似たようなものだ。むしろぎゅうぎゅうに電車に押し込まれて嫌な思いをしない分、ハノイのほうが人間的な気すらしてくる。あの満員電車を見たら、ベトナム人は日本人はクレイジーだなと思うだろう。そう考えれば、ベトナムも日本も五十歩百歩だ。


・・・それでも2車線で4台並走するのとか、車をかき分けて原付がどんどん追い抜きしてくのか、どうかとは思うが。あと歩行者用の側道を当たり前に原付が走り抜けていくのもやめてほしい。混んでいるのが嫌なのはわかるけど。
そんな中Grabを使っても、全然車は進まないと予想された。Grab Bikeというのもあって、原付の後ろに2人乗りで乗せてくれるようなのだが、この原付の車列に2人乗りで混ざる勇気はなかった。となると最後、歩くしかない。
とはいえ初めての地なので、歩いているだけでもいろんな発見があって面白い。同行者も初めてだったので、バイクの余りの多さと道の渡りにくさに、つい6時間ほどまえの自分と同じような事をいっていた。この時には自分はすっかりなれてしまったので、偉そうに先導しながら観光地へ向かう。「慣れれば大丈夫だよ」という自分が最初聞いて、何にも役に立たなかった言葉も口から出てくる始末だ。


ハノイの観光の中心部はホーチミン廊。ベトナム建国の父、ホーチミンの遺体が、永久保存処理をされ眠っている場所である。社会主義国家らしい場所だ。このホーチミン廊を中心に、周辺には広場や、国会議事堂、政府機関、大統領府等が広がっている。ホーチミンが見守っている、という事なのだろう。
ただ、そこは社会主義国家、全体的に閉まるのが早い。既に時間は17時をまわっていたのだが、この時間を過ぎるとほとんどの施設が閉まる。大変官僚的である。


せっかくきたので、外観だけでも見ながら歩く。この界隈の施設はかなり立派で、外観を見ているだけでも面白かった。ただ、国会議事堂前の道は入れないらしく、立派な道が封鎖されていて、警備員に聞いてみてもNoと言われた。ここをいけないとかなり回り道しないといけないのだが、しろと。テロを警戒しているのだろうか。


そういったことがあり、ホーチミン廊の前に広がっているバーディン広場まで来た段階ですでに大分疲れていた。バーディン広場の正面に来たのだが、柵がぐるりと広がっていて、入口も見当たらない。ただ中に人はいたので、柵を乗り越えて入ったら、すぐ憲兵が寄ってきて追い出された。どうやらだめらしい。
ぐるーっと一番奥まで行くと、入口があったのでそちらから入らないといけないようだ。行ってみると、なんと手荷物検査があった。ホーチミン廊、警備が万全である。この検査は夜遅くまでやっているので助かった。他は全部しまっていたし。


巨大なホーチミン廊を眺めながら、死んでも処置がされて、こういった所に安置されるというのもどうなんだろうと思った。こちらにも憲兵が二人、おそらく常時警備しているのだろう。ホーチミン自身は火葬を望んでいたようだ。ただベトナム当局は遺書を全文公開せず、今こうやって安置されている。と、ウィキペディアに書いてあった。それだけ偉大な人だという事なのだろう。


ここまできて、大分疲労がたまっている。今日はいろいろあった。心なし喉に軽く痛みも感じる。疲れたのだろう、そろそろホテルへ戻ろう。
ハノイ ウィークエンドナイトマーケット
Grabで一路ホテルへ。ただその前にもう一か所。ホテルのすぐ近くの道で、週末だけナイトマーケットが開催されている。ちょうど開催の時間だったので、立ち寄ってみる事に。


ついて驚いた。見る限り人、人、人。観光客もたくさんいるが、地元の人らしき人もかなり多い。そして規模もかなり大きい。
取り扱っている商品も幅広い。


例えばユニクロの靴下が5個100,000ドン(500円)で売っていたりする。見てみると、靴下にはおなじみのユニクロのロゴがしっかり入っていた。うしろには日本語で、靴下の説明まで書いてある。まごうことなき偽物である。ユニクロのロゴ入り靴下なんぞ見たことが無いし、買いたくもない。あと同じところにPUMAの靴下も並べてあった。こちらもしっかりPUMAのロゴ入りだった。まあこれはなんかありそうだけど、ユニクロなのかプーマなのかはっきりしようよ。


こういった怪しい製品も多数あったが、きちんとしたお土産らしい製品も多数あった。おなじみの立体紙切りとか、アジア雑貨っぽいもの。こども服なども。時折ナイキのスニーカー等が混ざって売っているのはもはやご愛敬だが、アジアのナイトマーケットっぽくて面白くはあった。
せっかく来たので、ここでお土産をいくつか買う。切り絵はいつ見ても同じようなものがおいてあって、もはや工業製品になっているのだろうか。店頭でこれ、というと、テントの中から新しいのを出してくれた。不思議なものである。買ったお店では大きいサイズの物が30,000ドン(150円)、小さいサイズのものは20000ドン(100円)だった。場所によって値段は違ったので、お好みで。


食べ物も売っていたが、食べる気にはあまりなれなかった。初日ですでに結構疲れていて、当たったらお話にならない。たこ焼きが5,000ドン(25円)だったりと、気になるのはあったのだが。
ホテルで食事


ナイトマーケットを最後まで行くと、ホアンキエム湖に出た。夜になっても霧は濃かったが、ホアンキエム湖のライトアップとあわせるとやはり幻想的な景色に見えてくる。
昼間ここのカフェにいくときは縦横無尽に走っていた原付に困らされたが、ナイトマーケット時間中は歩行者天国になっているようでかなり広々歩くことができて助かった。ただ、歩行者天国でも突っ込んでくる原付はいるので、油断できないのがこの国だ。


ずっと歩いていて感じたが、ベトナムは若者が多く、活気がある。こうやっていて歩いていても、見るのは若者ばかりだ。この辺りの道はかなり広いのだが歩行者天国になっていたため、ストリートパフォーマーやストリートミュージシャンで大賑わい。人気の人には黒山の人だかりができていた。
週末の夜をみんな思い思いに楽しんでいる。街に活気がある。日本だと新橋でおっさんばっかり(自分もおっさんだが)見かけるが、ここでは若い人が多く、パワフルだ。


ここまで来たらホテルもすぐ近く、途中のコンビニで買い出しをする。ジョージアマックスコーヒーが売っていた。甘いコーヒーが主流のこの国では受けるのかもしれない。お値段も他のものと同じ14,000ドン(70円程度)とお手頃だった。同じ店でハノイビールも16,000ドン(80円程度)で売っている。コンビニなので値段は高いのだろうが、それなのに大分抑えられたお値段だ。


食事は宿泊するホテルに併設されたエッセンスレストランで頂く。こちらではかなり高級なレストランのようで、実際来ている人も欧米系が多い印象だった。とはいえ値段的には日本の居酒屋程度。お財布に優しい国はありがたい。


そしてこの食事がおいしい。本当においしい。このレストランは、また来たいとおもって実際最終日にまた来てしまったぐらいおいしかった。ベトナム料理を中心に他の料理もあるのだが、どれを頼んでもはずれが無いし、接客も安定していた。素晴らしい。ベトナム料理は本当に口に合う。料理がおいしい国は、いい国に違いない。
レストランを出て、部屋に戻ろうとすると外がやたらと騒がしい。何事だろうか。気になって様子を見に出た。


そこに広がっていたのは道沿いにずらっと並んだ飲食店と、そこに密集するベトナムの若者たち。みんな浴びるように酒を飲んでいる。とにかく人の多さに圧倒された。なんなんだろう、これは。


夜だけホーカーズになるのだろうか、とはいえここは一応公道なので、車も入ってくる。特に歩行者天国というわけではないようだ。にしても黒山の人だかりである。これはスリにあいそうだ。荷物は気を付けないといけない。そしてこんなところを男二人で歩いていれば、当然「マッサ?マッサ?」と声をかけてくる怪しいおっさん。ベトナムの雰囲気が濃縮されたような場所である。


とにかく賑やか。活気がある。日本でこれだけの活気がある場所はあるだろうか。とにかく全体的に年齢層が若い。圧倒的に若い。気になって調べたら、ベトナムで一番人口が多いのは20歳~35歳の層で、人口の14%がこの層にあたるようだ。日本はこの層は8%程度。割合で見れば日本の二倍近い若者がいる。若く活気があるように感じた理由はこの辺りなのかもしれない。
本当に圧倒されてばかりだ。最初は正直来た事を後悔したが、このベトナムの力強さにあてられて、だんだんと自分たちも頑張らなきゃいけないと思わせてくれる。謎の力がでてくる。確かにカオスな国ではあるのだが、不思議な魅力がある国だ。
就寝


初日から本当にいろいろあったが、あとは寝るだけである。明日は早速朝一でダナンまで飛ばないといけない。正直、予定を詰め込み過ぎた。これだけ予定が詰め込まれた旅行は久しぶりだ。
スマホで明日の予定を確認していると、Googleがベトナムの情報も送ってきてくれる。こういうのは便利だ。ななめ読みしていると、気になる記事をみかけた。
「ハノイで濃霧によるスモッグが発生 大気汚染は深刻に」
記事によれば、ハノイでは濃霧が発生したために、大気の流れが悪くなり排気ガスが空気中に滞留。大気汚染が深刻なレベルになっているとのことだった。
・・・ということは、昼間見ていたのは、霧というより空気中にたまった原付の排気ガスである。つまり、PM2.5である。
言われてみれば、確かにベトナムのバイク達、ノーヘルのくせにマスクだけはしっかりつけていた。彼らはわかっていたのである。なんか喉がいがいがする気がしていたのだが、もはや完全にPM2.5のせいに感じている。
昼間、のんきにホアンキエム湖を見ながら風情があるなんて感じていた自分があほらしい。風情ではんく、PM2.5である。
・・・寝よう。
ダナンは海沿い、人口も120万人なので空気はそれほど悪くないようだ。明日の朝に移動してしまえば関係ない。今日マスク無しで外を歩いていたことは忘れよう。ハノイに戻ってくる頃には、濃霧も落ち着いているだろう。
続く
「普通に観光だけを楽しむ男2人のベトナム旅行記(2日目・ダナン編)」に続く(現在未作成)