アンコールトム。
アンコール遺跡観光に行こうとして、最初は正直アンコールトムが良くわかりませんでした。
アンコールワットと名前がにてるけど、何なんでしょうかこれ、と。
簡単に説明しますと、クメール王朝は中期と後期の2度、勢力図を非常に広なったタイミングがあります。
中期に勢力を広げた際の首都がアンコールワット。
後期に勢力を広げた際の首都がアンコールトム。
それぞれ非常に近い場所にあり、どちらも非常に大規模で、アンコール遺跡で人気を二分するような遺跡です。
そんなアンコールトムの観光に向けて、必要な情報をまとめてみました。
皆様の遺跡観光の参考になれば幸いです。
その他の遺跡情報については、こちらにまとめています。

アンコールトム基本情報
名前の由来
アンコールトムは、クメール語で「Great City」を意味します。
その名の通り、クメール王朝の後半、崩壊までの間首都であり続けた都市です。
場所・行き方
アンコールワットの入口から北に1.5キロ程はなれた場所に、正門があります。
市内中心部からはやはりトゥクトゥクで訪れることができます。
歴史
アンコールトムは、ジャヤーヴァルマン7世によって12世紀後半に建立されたクメール王朝の首都です。
この遺跡は、仏教の寺院として建立されました。
アンコールトムができるまでのクメール王朝の首都は、12世紀前半に建立されたアンコールワットです。
しかし1177年、隣国チャンパ王国の侵略によってアンコールワットは陥落。破壊されます。
その後、ジャヤーヴァルマン7世によってアンコールワットは奪還されましたが、街は荒廃しきっていました。
そこでこの首都を再建するために、近隣に新たに作られたのがアンコールトムです。
アンコールトムは、アユタヤ王朝に侵略されクメール王国が滅ぶ1431年まで、首都の座を守り続けることとなります。
主な遺跡
アンコールトムは、複数の建造物によって構成されています。
これらの遺跡が全て、3キロ四方に渡る巨大なお堀の中にまとまって存在しており、全体をさして「アンコールトム」と呼ばれます。
観光客に人気がある主要な遺跡は、以下の4つです。
- バイヨン・・・12世紀後半頃から、仏教徒の国王であったジャヤーヴァルマン7世によって、アンコールトムの中心部に建立され始めます。ジャヤーヴァルマン7世の死後にはヒンドゥー教徒の国王により補強・修正がなされたため、混合した寺院となっています。
- 象のテラス・・・12世紀後半に、こちらもジャヤーヴァルマン7世により建立された。閲兵席として使用された場所。
- ライ王のテラス・・・12世紀後半に、やはりジャヤーヴァルマン7世により建立された。王の火葬場として使われたと考えらている。
- バプーオン・・・アンコールトムを作り始める前の、11世紀中ごろに建立されたヒンドゥー教の寺院。
他にもピミアナカス、プラサット・スゥル・プラット、プリア・ピトゥ等の遺跡がありますが、観光客に人気のある主要な遺跡は上記の4つです。
なお、ここに挙げた遺跡含め、アンコールトム全体で世界遺産にも指定されています。
混雑情報
アンコールトムは、アンコールトムと並んで周辺のアンコール遺跡群の中で群を抜いて人気がある遺跡です。
そのため非常に混雑が激しいため注意しましょう。
どのくらい混んでいるかというとこのくらい混んでいます。


ピーク時間帯はこんな感じで、あるくのも大変なレベルです。
これだけ混んでいるとスリなどの軽犯罪にも会いやすいため特に要注意です。
アンコールトムが混んでいるのは午前中です。
これは光の当たり方の都合ですね。
午前中のほうが建物の正面が順光になるため、綺麗に見えますし写真も撮りやすいためです。
ほとんどのアンコールトムのツアーは、この理由から午前中に組まれます。
このため観光客数も午前中に集中します。
ちなみにアンコールワットは逆で、午前中はすいていて午後から混み始めます。
建物の向きが逆だからですね。
このため1日ツアーの場合には、アンコールトムを午前中に、アンコールワットを午後に訪れるものがほとんどです。
このためアンコールトムは、午後になると、逆光になるため観光客はだいぶん減ります。
あまりこの辺りきにしないようであれば、午後に訪れたほうが良いでしょう。
そして午前中にアンコールワットを訪れると、非常にスムーズなアンコール遺跡観光ができます。
逆光ですが。
アンコールトム写真ガイド
続いてアンコールトムの主要な様子を写真でご案内します。
遺跡群としては、こちらのほうが巨大なんですよね。
非常に圧巻される遺跡でした。
バイヨン
まずはバイヨンから。
アンコールトムの中心部に立つ、最もメインの遺跡です。


こちらも規模が非常に大きい。




アンコールトムといえば、この人が微笑んでいるように見える彫刻で有名です。
こういった彫像が、いくつか中央部にあります。


そして細かい彫刻ですね。
これだけ大きい遺跡にこれだけ細かい彫刻が、そこかしらに彫られています。
これを作るのは本当にどれだけ大変だったのでしょうか。
想像もつきません。
象のテラス
続いて象のテラス。
国王が行う、凱旋した軍隊の閲兵席として使われたとか。
で、そのためだけにこんなの作るの?ってぐらい巨大です。
かなり圧巻されます。


この象の彫刻が特徴的な、象のテラス。


今はその王のための席を、我々一般人がみることができます。
おそらくこのテラスの上にいたのかと思われます。


そしてところどころにそびえる象の彫刻。
おそらくこのあたりが王の席だったと想定されます。
そこに一般人である我々が入り込むっていうのは、時代が変わったなあと思わされますね。
しかしこれだけの規模の閲兵席。
どれだけ兵士がいたんでしょうね・・・。
そう考えながら上から下を見下ろすと、本当に圧巻されます。
ライ王のテラス
象のテラスのすぐ北側にあるのがライ王のテラス。
ここは油断すると見落とすので気を付けてください。
象のテラスの陰に隠れますが、すぐとなりのためセットで観光となる事が非常に多いです。
ただここも王の火葬場だったんじゃないか、という非常に由緒正しい遺跡です。
バプーオン
若干毛色が変わるのがこちらバプーオン。
もともとアンコールトムができる前に建てられた寺院です。
後からアンコールトムができた形になりますね。
バイヨンと比べるとすこし大きさは小さいですが、それでもかなり大きいです。
こちらのほうが下を見下ろしやすいつくりになっています。
上から見下ろすとその大きさが非常にわかりやすいですね。


ここももはや城塞といっていい建物ですね。


こちらは周りの景色を見下ろすことができます。
高い所から見ると非常に良い景色を見ることができますが、かなり高さが急なので気を付けてください。
まとめ
アンコールトムについてご案内しました。
ちょっと最初は全体像がつかみにくいのですが、構成さえわかればそれほど難しくはないはずです。
アンコールワットとは少し異なり、どちらかというとクメール王朝の、王朝としての歴史を強く感じます。
特に象のテラスはほかの遺跡と異なり軍事色が非常に強く、見ていて非常に不思議な気持ちにさせられました。
アンコールワットと人気を二分する遺跡、必見です。